Mag-log in翌日、久しぶりのバイトに出勤した。
学校が始まってからは主に週末だけにして貰ったのだ。事務所に入ると挨拶をする間もなく、沙月が腕に抱き付いてきた。
「お久しぶりです~。友也さんに会えなくて寂しかったです~」「そんなに久しぶりでもないだろ。っていうか離れろ」「連れないですね~」そんなやり取りをしていたら店長が揶揄うように
「ここはホテルじゃないんだからな」
と言ってきた。
俺がツッコもうとすると、沙月が「私達はホテルじゃなくて自宅派ですから~」
ととんでもない発言をした。
慌てて俺が「今のは沙月の冗談ですからね? それに俺達は付き合ってもないですから!」
と誤解を生まない様に言ったはずが
「友也、お前一体何人の女がいるんだ?」
と何やら更に誤解が加速していた。
どうにかして誤解を解こうとしていたら急に店長が笑い出した。翌日、久しぶりのバイトに出勤した。 学校が始まってからは主に週末だけにして貰ったのだ。 事務所に入ると挨拶をする間もなく、沙月が腕に抱き付いてきた。 「お久しぶりです~。友也さんに会えなくて寂しかったです~」「そんなに久しぶりでもないだろ。っていうか離れろ」「連れないですね~」 そんなやり取りをしていたら店長が揶揄うように「ここはホテルじゃないんだからな」 と言ってきた。 俺がツッコもうとすると、沙月が「私達はホテルじゃなくて自宅派ですから~」 ととんでもない発言をした。 慌てて俺が「今のは沙月の冗談ですからね? それに俺達は付き合ってもないですから!」 と誤解を生まない様に言ったはずが「友也、お前一体何人の女がいるんだ?」 と何やら更に誤解が加速していた。 どうにかして誤解を解こうとしていたら急に店長が笑い出した。 とうとうおかしくなったのかと思い「いきなり笑い出してどうしたんですか? 大丈夫ですか?」 と声を掛けると「佐藤~、お前今私を馬鹿にしなかったか?」 といつもではあり得ない程の声の低さと怒気を孕んでいた。 俺はとっさに「すみませんでした!」 と言って頭を下げる。 すると店長は「そんな怖がるなよ。私が笑ってたのはあまりにも友也が必死だったからさ」 と言って今度は普段通りに笑う。「そりゃ必死になりますよ、変な誤解されたままじゃ嫌ですから」 と店長とやり取りをしていると、沙月が拗ねた様に言ってくる。「そんなに私とじゃ嫌なんですか~?」「嫌とかじゃなくて、常識的にダメだろ?」「私はそんな関係でも構わないですよ!」 沙月とそんなやり取りをしていると「そういう話は人前でするな。それにそろそろ出勤時間だぞ」 と言われ時計を確認
今日から中居達は部活が始まるらしく、帰りは俺と水樹だけだった。 丁度いいのでどうして田口を助けられなかったのか聞いてみる。「夏休みに合コンしただろ? あれで火が付いたらしくて友也とやった合コン以外に6回もやったんだよ」 「それが何か関係あるのか?」 「全部俺がセッティングしたんだぜ? 最後の一回の時に言ったんだよ。『今回やるかわりに次お前が困ってても助けてやらないからな』ってさ」 「なるほどな」 「案の定、今日の出し物決める時に俺の方見てたから約束思い出せってLINE送ったら露骨に落ち込んでたからつい友也を頼っちまった。すまん」 何かしら理由があると思ったが田口のまいた種だったとは。 それでも結局俺を使って助けるんだからホントに仲間想いだな。「だったら大人しく執事になれよな。水樹まで一緒になって俺をリーダーにしやがって」 「でも友也は結局執事やる事になってただろうからな。俺も執事やるから勘弁してくれ」 「当たり前だ」 しかし俺が男子を纏めるリーダーになるとはな。 というか、早川凄い睨んでたなぁ。やだなぁ、怖いなぁ。 と考えていると水樹が「でも友也が早川にあそこまで啖呵切るなんて驚いたぜ」 「自分でも驚いてるよ。リーダーにされるなら道連れにしてやるって感じだったからな」 「その後もクラスの男子を奮い立たせたんだから大したもんだよ」 「でもこんな頼りないリーダーでいいのかな」 「んな事無いって。皆友也の事認めてるから乗ったんだぜ? 自信持てよ」 「ああ、ありがとう」 水樹の言う通りだな。 先ずは自分に自信を持たないとな。 週末のLHRの時間がやってきた。 今回は誰が執事、メイドをやるか決めて、その他の役割分担を決めるとの事だ。 そして俺は今、早川と並んで教壇に立っている。 クラス委員が仕切るよりも、男子のリーダーと女子のリーダーが仕切った方が盛り上がるという理由だ。 俺が何から始めたらいいか悩んでいると、早川は慣れ
翌日、LHRの時間がやってきた。 教壇には担任ではなくクラス委員の二人が立っている。 出された案を黒板に書いている女子が島田瞳。 皆に意見を求めて纏めているのが男子のクラス委員の滝沢彰人だ。 黒板には既に幾つかの案が書かれている。 ・お化け屋敷 ・たこ焼き屋 ・チョコバナナ屋 ・演劇 等々、やはり定番の出し物が名を連ねる。 滝沢が他に無いかと聞くと、聞きなれた大きな声が教室に木霊する。「メイド喫茶がやりたい!」 そう言ったのはやはり田口だった。 やはりブレないな。 滝沢が島田に指示して黒板に促す様にしていると、一人の女子が「メイド喫茶ってあたし等が大変じゃ~ん、男子は何すんのよ~」 そう言ったのはギャルグループのリーダー早川麻耶だった。 いつも女王様の様に振る舞っているが、楓とは違ったカリスマ性を持っている。 長い髪を金髪に染め、ネイルやアクセサリーが派手だ。 目は大きく少し吊り目なので睨まれると怖い。 早川の発言に対して田口は「料理つくったり、呼び込みしたりとかするよ~」「はぁ? そんなもん女子でもできるんですけど?」「え~と、看板? とか作るし……」「それは準備の段階で皆で作るもんじゃないの~?」 完全に言い負かされた田口は大人しくなり、そのまま力無く座った。 まぁ早川の言い分が正しいからな。 メイド喫茶はどうしても女子に負担を掛けてしまう。 二人のやり取りを見ていた滝沢が「それじゃあメイド喫茶は無しでいいかな?」 と皆に確認を取ろうとした時、再び早川が「あのさ~、いい案があんだけど~」「良い案っていうのは何かな?」「執事喫茶なんてどう? 最近そういう系のドラマもやってるし~」 おぉ、ギャルの早
学校が終わり、グループでファミレスまでやってきた。 俺はバイトなので入り口で皆と別れ裏手の従業員用の入り口から入る。 事務所に入り着替えを済ませ、一息吐いていると「おはようございま~す」 と沙月が出勤してきた。 「おはよう」 と声を掛けると「あっ! 友也さんおはようございます」 と言って近くまで寄ってきて「昨日はお姉ちゃんがお世話になりました」 と、沙月がお礼を言ってきた。「なんで沙月がお礼言うんだ?」「妹だからです。それにお姉ちゃん、もう此処には余り顔を出さないって言ってました」「そうか。それじゃあ友華さんとは仲直り出来たんだな」「一応はそうですね。でもライバルでもあるので協力は昨日だけですけどね」「やっぱり昨日の事は沙月が仕向けたのか」「へへ~、迷惑でしたか?」「いや、今回ばかりは沙月に感謝だよ」「ふふ、ありがとうございます」 と言って更衣室に消えて行った。 ホールに出ると皆が楽しそうに話している姿が見えた。 そこに混ざりたいが勤務中なので我慢する。 注文を取りに行く時や料理を運んでる最中に「お、ちゃんと働いてる」「ファミレスの制服も似合ってる」「あ、顔が赤くなった」 等、色々聞こえてきた。 その一連を見ていた沙月が「もしかして8番テーブルの人達って友也さんのお友達ですか?」「ああ、五月蠅かったら言ってくれ注意してくるから」「いえいえ、あの程度は五月蠅い内に入りませんよ。それよりも……」 沙月が何か言いかけたが、結局何も言わずに仕事に戻る。 他のお客様に料理を運んで戻ろうとすると、沙月が8番テーブルで何やら話しているのが見えた。 何を話しているのか凄く気になる。 何より今日は楓と南も居るので沙月が変な事を言わないか心配
今日から2学期が始まる。 俺はいつもより早く学校に着いた。 そして真っすぐに理科室へと足を運んだ。 昨日の夜、二人に沙月と友華さんの事で話があるから理科室に来るように頼んでおいた。 理科室のドアを開け中に入ると既に二人が揃っていた。 「おはよう、二人とも早いな」「おはよう友也君」 と挨拶を交わしていると、南が「トーモー! おっはよー!」 と言いながら駆け寄ってきて抱き付いてきた。 相変わらずスキンシップが激しいなと思っていたら「あっ! 南ズルイ!」 と楓までもが抱き付いてきた。 なにこれ! マシュマロのサンドウィッチだよ! っと、危ない危ない。また思考が飛んでいく所だった。 沙月に迫られて耐性付いていなかったらヤバかった。 と考えていると「友也君ネックレス買ったんだ! うん、似合ってる」「ホントだ! トモかっこいい!」 と早速ネックレスが見つかったので「とりあえず二人に伝えたい事があるから離れてくれないか?」 と言うと二人ともスッと俺から離れ、真剣な表情になる。 俺は何から話せばいいか迷っていると、楓が「とりあえずどうなったか結果だけ先に聞かせて」 と言ってきた。 なので簡潔に伝える。「沙月はキッパリ振ったよ、姉の友華さんとは趣味友達の様になった」 俺の答えを聞いて楓が驚いていた。 まさか俺がどちらかを選ぶと思っていたのだろうか?「キッパリ断ったって事は沙月ちゃんに告白されたって事だよね?」「ああ、そうだ」 そんなの当たり前だろうと思っていたら「ファミレスで会った時沙月ちゃんは恋愛しないタイプだと思ったから安全だと思ったのに」「それであの時沙月は問題ないって言ったのか」「うん。でもこの短い期間で沙月ちゃんを変えちゃうなんて……さすが友也
午前11時。昨日指定された場所で友華さんが来るのを待っている。 指定された場所は昨日の公園だった。 沙月から聞いたのか、それとも単なる偶然なのかは分からない。 ベンチに腰を掛けて公園内を見るが、夏休みだというのに子供一人居ない。 今日で夏休みが終わりなので宿題に追われてるのかもしれない。 待つこと数分、友華さんが現れた。 ひざ丈の白のフレアスカートに薄い水色のフリルの付いたシャツ、薄手のレースカーディガンを羽織っていた。 足元は夏らしいサボサンダルを履いていた。 「ごめんなさい、おまたせしました」 「……」 「あれ? 友也さんどうしました?」 「あ、すみません。雰囲気が変わっていたので見惚れてました」 先日、沙月に選んで貰った服なのだろう。 一目でわかる大人っぽい雰囲気に、彼女にしては夏らしく大胆に露出した足元。 元々控えめな性格と容姿だったが、まるで別人の様に変わっていた。「うぅ……あ、ありがとうございます」 友華さんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。 さすがに性格まではすぐに変わらないようだ。 暫く沈黙が続いた。 想像以上にイメージチェンジした驚きと感心に浸ってぼーっとしていると 「あの、実はその、友也さんと二人きりで会いたくて」 「は、はい」 やばい、ドキドキする! よくよく考えたら友華さんから誘われるのは初めてだ……こんな大胆な人だっけ? 昨夜電話を受けたときから身構えてはいたのに自分でも信じられないくらい動揺している。 これから何を話す? いや、決まってる! 俺の答えも決まってるはずなんだ。 はずなのに、ちゃんと言葉にできるのか? 刹那に様々な思考が駆け巡る。「会って直接お話したい事があったんです」 数秒前とは違い覚悟をしたような真っすぐな目で友華さんは話す。 俺も狼狽えている場合じゃない。 気づかれない程度に小さく深呼吸をして「それじゃあえっと、そこのベンチにでも座りましょうか」 4人掛けのベンチに先に座る。 少し考えたかのように間を置いて友華さんが座る。 二人の間は少し距離が空いている。 「それで、聞きたい事っていうのは何ですか?」 友華さんは真剣な顔で「昨日の事を沙月から聞きました」 やっぱり沙月から聞いてい